Lotus, midsummer typhoon approaching
蓮、真夏の台風が近づく
蓮は神聖、再生などの言葉とよく結びつけられる。仏教の極楽浄土信仰や、泥水に濡れないという特殊な葉の性質がその理由である。
でもそれらは後付けの知識だ。私にとって蓮が広がるレンコン畑は、純粋に興味を惹かれる場所だった。何度も何度もそこに通っているうちに、ある季節、ある天候において、そこはさらに気持ちをかき立てられる場所になると気づいた。それ以来、「真夏の台風が近づき、強風域に入った日」限定で蓮を撮影する活動を続けている。
緑が一面に広がる中、三脚をセットする。風音が響き始めると、大きく開いた蓮の葉が順に閉じて、前後左右に騒めきが走る。ファインダーの中の動的な現前をシャッターで分断していく。揺れる蓮華を見つめると、視線を投げ返されたように感じる。畑という営為の中にいても、ただ受け身なだけの自分に気づく。